ポチ
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クリスタル/speena
今日は、早出。
彼は、わたしを拾って会社へ向かった。
初めて見たサングラス姿は、なんだか少しおかしかった。
2回目の試験も落ちたこと、仕事のこと、いつものように、話した。
思いの外、早く会社に着きそうだったから、コンビニ。
お昼ご飯を選ぶわたしの横には彼がいて、レジに向かったら
おごってやる。
彼はそう言った。
いいよー自分で買えるよーって笑って返したけれど、彼は同じ言葉を繰り返した。
明日も早出になって、でも自分で行けば良いのか、迎えに来るつもりなのか分からなかった。
なにも連絡がなければ、いつも通り自分で出社するつもりだった。
でも、思いの外早くメールが来た。
明日も同じ時間でよろしく。
それだけ。
迎えいる?とか、そんなやり取りもなく、なにも書かずに、ただそれだけ。
なんとなく気が引けて、でも断ろうとするときっと面倒臭がるだろうと思って、いろいろ大丈夫ですかってメールを返してみるけれど、返信はただ一言
無問題
だけだった。
あの人らしいというか。
こういう人だもんな、って思い出して、少し嬉しいような、変な気持ちになった。
時々、考える。
彼にとって、わたしはなんなんだろう。
お互いの出社時間とか、退社時間が被れば送ってくれて、コンビニに寄ればおごってくれて。
当たり前のように、迎えに来てくれたりして。
お互いの好きな音楽のやり取りをして。
でも、食事に行ったことなんてない。
ただの上司なら、毎回おごってくれなくて良いのに。
当たり前のように、迎えに来てくれたりしなくていいのに。